この夏に家族がコロナ陽性になり、その看病をしていた私自身も感染した顛末と感じた事を書きます。

 私自身が2021年8月の事を忘れないように、そして見知らぬ誰かの参考に少しでもなればと思います。

一個人の記憶と感想ですので、記憶違いや不正確な部分はあると思いますが、予めご了承下さい。

濃厚接触者

日本がコロナ感染対策そっちのけで狂乱オリンピックパラリンピックに興じていた8月、自粛ムードも限界なのか気持ちが緩んだのか、それならこっちもフェスシーズンだとライブ やイベントが増えつつある時期にフリーランスのつれあいにもいくつか仕事が来た。
 
8月3日の夜に咳はあるが熱はなし、いつもの扁桃腺の腫れだろうと翌日かかりつけの耳鼻科に電話すると「まずは発熱外来で診察してくるように。」との指示。
近所の医院でPCR検査して結果は陽性。
とりあえず関係各所に連絡して直近のイベントは中止になり、私も濃厚接触者ということで指定の場所 までPCR検査を受けに行く。このとき電話で保健所から「場所を口外しないように。」とのお達し。
翌日に電話で陰性とのこと、絶対に自分でも感染したと思ってたので(だって爆発的にウイルス撒き散らしている期間に同じ部屋で寝てた)拍子抜け。 

こうなったからには、少しでも早く良くなるように看病しようと思った。
 しかし後から考えるとこれが素人の看病と隔離だったのだ。
 

 37度以上四日間って!?

発熱外来でもらった解熱剤はたったの5錠で、ドラッグストアでは軒並みタイレノール売り切れ。
代わりのナロンはあまり効かないなど、初っ端から解熱剤獲得に奔走。
パルスオキシメーターは知人がすぐに持ってきてくれたのは本当に助かった。保健所が持ってきたのは五日後 ...。しかもなんの手違いでそうなるのか1週間後にもまたきた。保健所のグダグダぷりに呆れを通り越してなんだか怖くなる。
 
そして私はというとなるべく患者と接触しないように基本的にスマホのメッセージ機能で会話し、おかゆをチンして麦茶とポカリスエット(粉末)を作り冷蔵庫で冷やし、またドアノブとスイッチとトイレと洗面所を消毒して、冷えたアイスノンと交換に温くなったアイスノンと氷嚢数個と保冷剤を洗剤で洗って冷蔵庫で冷やしておく。一日中エンドレス消毒。あ〜しんど。

今から考えると、他国のようにちゃんと陽性者向けの施設があって隔離されてたら、本人も肺炎が進行するまで放置されずにすんだだろうし、私も無駄な消毒作業で憔悴しないし感染しなかっただろうに...。本当に悔しい。
 
一週間ぐらいで良くなるだろうという予想とは違って9日めに悪化しだし、自宅療養者健康感観察センターや保健所に電話して訴えるが爆発的に陽性者が増加してて「すぐには入院できないし順番待ち。」「(酸素の数値が低いので)酸素濃縮吸入器を自宅に入れたいか ?」と聞かれる。もちろんイエスだが、これが待っても待ってもなかなか来ない。
この日の体温は39.1度で酸素は88(90切ったら救急車を呼ぶように自宅療養者むけのチラシには書いてる)本来ならばとっくに入院してるレベル。
夜中に隣室でゼェゼェしてるのに本人は高熱でハイになってるのか、救急車は呼びたくないといいはる。まさかこのまま家族が悪化していくのを、私はただ無力なまま見ているだけかと絶望的な気分で眠れない。叫びたいのに叫べないまま生殺しされていくようだ。
 
買い物は心配した友人が車で大量の飲み物と食料に解熱剤など差し入れしてくれて助かる。
仕事(ある施設関係)でもうワクチンも打ってるというから心強い。優しさにはげまされる。
 
ワクチン接種のことでちょっと脱線。
周りを見渡すと(8月の時点)ワクチン接種済がチラホラと。
 医療関係者と配偶者→そりゃワクチン優先するよね!
前述の友人のような施設関係→ これも優先するよね!
 某大企業勤務の友人と配偶者→お前らなにしれっとエッセンシャルワーカーより先に抜けがけしてんねん! いや本人には言わないけどさ。
 
こんな不公平な大企業優先を恥ずかしげもなく行い、それを報道する役目のメディアも抜けがけの仲間入りで黙認しているのが、本当に日本社会の病巣が深刻で落ち込む。
 
そして三日後、何故か違う区の在宅診療の医師から電話がくる。あまり説明されなかったが、患者が適切な医療を受けているか、別の機関からのコーディネーターの役割の様子。
保健所にも何度も言ったことを繰り返すと、「その病状なら、すぐ酸素の機械を手配します。」と明言されてやっと話しが通じる人に受け止めてもらい、状況が改善されるのでホッとする。後で配送の時間が何時ぐらいになるかも教えてくれて「大丈夫ですよ、忘れられていませんよ。」と言ってくれて親切な女性の医師だった。
 
しかし冷静になると満足に医療機関にもかかれないで自宅放置されていることに政府への怒りが再燃。
レモンクラブ伯爵のように「許さんぞ〜許すものか〜!」と叫ぶ。
 

酸素濃縮器がやっと来た

約束通りその日の夜に酸素濃縮器と設置の係が二名でやって来た。
すぐには入らずにまずウチのドアの前で防護服を着る、使い捨ての割烹着状のビニールのうわっぱりに医療用マスクの上からフェイスシールドと手袋、不織布のヘアカバーとフットカバー。
すべての窓を開けて換気扇とサーキュレーターを全開にするように言われて従うと、月面着陸した飛行士並のゆっくりさでマシンを運んでくれる。
その動きを見て、私の隔離対策は全然甘かったのが解ってショックを受けつつも、酸素濃縮器がやっと来たのでホッとする。

夜になって電話で症状を話して処方箋を出してくれる「ファストドクター」という人から電話。これが記憶から消したいレベルのムカつく人物だった。
私はスピーカーホンにして横で聞いてムッとしたんだけど、あまりにも失礼で横柄なしゃべりで医師の前に人間として社会生活おくれてるの?
こんなのより、もっと優秀な女子の医大受験生いただろうにね。
 
保健所の個々の職員は状況が改善されるように必死に働いている方々が大半だとは思うが、このパンデミック状況で組織としてちゃんと機能しているのか?
指揮系統の混乱が素人目からも目についてひどかった。
まあ一番悪いのはまともな感染対策もしないで情報制限して、利権まみれのオリンピック優先させた自民党だけど。
 
怒りのあまり脱線した。
酸素濃縮器は対症療法だし、一刻も早くオンライン診療ではない医師の診察を受けたい、できれば入院したい旨を息切れしている患者も看病している私自身も保健所と健康観察センターに何度訴えたことか。
なんのために保険料払ってんのかわからない。
確実に肺炎になってるのに「自宅で寝とけ入院はいつできるかわからん」って 、実際に自分の家族に起きたらもう絶望するよ。
このままなんの処置もないまま、もし朝になって冷たくなってたらどうする?って何度も思った。
 
つれあいは陽性判明してから14 日目にしてやっと入院できた。迎えの車のなかでも酸素吸入している状態だった。
私は力が抜けて一日寝たけど、熱が37度台のままで下がらず近日中にワクチン接種の予定もあるのに、「これは感染したかも?」と不安になる。
看病期間は真夏日でクーラーかけてもきかないし、換気もしないといけないし、患者はトイレと洗面所に日に何回かは行くし。減圧してない普通のマンションの部屋で空気感染しないはずないよな。私の感染は紛れもない人災だった。
看病中は自分も感染したかと思うと動けないので、無理やり「これは看病疲れの熱だから。」と思いこむように脳がバグってた。後から思い出すと、消毒したり氷嚢つくりながらフラッと後ろ向きに倒れそうになってたもん。
 
もし陽性になったと判明したら、50代以上はすぐに入院したいと保健所に言うのがいいと思う。自宅で看病しても感染力の高いデルタ株では患者が倍に増えるだけだし、周りでも50代は中等症で入院しているから。まあこの後ウイルスがどう変異するかはわかんないけど。(→ここはオミクロン流行前に書いた。)
 

 PCR検査

38度以上で寝込んだままなので、これはさすがにヤバいのでPCR検査を受けなくてはと決心するが、検査できるのは自宅からは徒歩では無理な場所や3万円かかる胡散臭いとこばかりで途方にくれる。 
悩んだ挙げ句につれあいが発熱外来でかかった 病院に行けばいいと気付く。しんどくてなかなか頭が働かない。
 結果はやはり陽性で、またしても治療もなく自宅で寝てるだけ、看病してくれる人もいないのに。
これが私のワクチン一回目予約の2日前の状態だった。
 

 入院できるの?

 つれあいが入院している病院でオンライン診療を受け、薬を出してもらえることになったが平日の昼間に動ける友人に頼み込んで取りに行ってもらう。普段はそんなに親しく付き合ってるわけでもない人が快く承知してくれてありがたくて泣けた。
暑いさなかに自転車で持ってきてくれて、お見舞いの桃缶などもあって優しさが染みる。
病気になって本当に友人たちの優しさ(特に中年女性のお見舞い品の気の配り方!ケア用員として鍛えられた能力だ。)に感謝したし、自分も困ってるひとにもっと手を差し伸べないといけないと反省した。

一人で自宅療養の6日目に急に入院が決まる。つれあいと同じ病院だが、私の入院した翌日に退院したのでほぼすれ違い。
自分で入院の準備をととのえてお迎えの車両も 自力で乗り込んだので、その時点では入院できてラッキーぐらいの気持ちだった。まあその後に悪化するんだけど。
自分でフラフラになりながらおかゆやヨーグルトを流し込むのもおしまい、 8月24日入院。
 

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